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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(オ)1084号 判決 1960年9月09日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人細木歳男の上告理由第一点について。

論旨摘録の原判示は、結局、上告人において訴外小松(略)に所論代理権ありと信ずるにつき正当の事由がないと判断したものにほかならない。そして、原判決確定の事実関係のもとでは、原審の右判断は相当であつて、論旨は理由がない。

同第二点について。

受取人白地手形補充前の呈示が呈示の効力を有しないことは、当裁判所の判例(昭和三一年(オ)第五二九号、同三三年三月七日言渡、最高裁民事判例集一二巻三号五一一頁)とするところである。所論は、これと相容れない見解に立脚するものであつて、採用し難い。

同第三点について。

被上告人が、訴外小松(略)において他から金融を受けるについて自己の信用を利用させる意味で所論約束手形につき同訴外人と共同振出人となつた事実があるからといつて、右手形関係とは別に同訴外人の金員借受債務につき連帯保証債務を負担すべきことを諾約し且つその意味を自己に代つて表示する権限を同訴外人に与えたものと推認しなければならぬものではない。論旨引用の大審院判例は本件に適切でない。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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